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人類史上最大のファンタジー物語「人の心が乱れてきている」

 「人の心が乱れてきている」

 「自分のことばかり考え、他人のことを考えない人間が増えてる」

 そのように認識される方が世の中には一定数以上いらっしゃいます。

 

 しかし私は、これは壮大なファンタジー物語なのではないかと考えております。

 何故なら、私がそんな実物を滅多に見たことが無いからです。

 

 確かに、テレビ等では「給食費を支払わない親」が特集されます。

 「働いたら負けかなと思ってるニートさん」が報道されます。

 2ちゃんまとめサイトでは、「生活保護を不正受給する人」や、「自分勝手な物言いで初心者ハンターを非難するプロハンター様」が話題にあがります。

 

 これだけ見れば、確かに世の中は狂ってきているように見えるでしょう。

 ですが、実際の日常生活で、そんな人見たことありますか?

 少なくとも私は無いです。

 

 そういう人物を見るのは、いつだって報道や伝聞の世界でだけ。

 これってなんだかおかしなことではないですかね。

 

 

 

 私が日常生活で実際に見る光景は

 落し物をすれば大抵の人はそれを拾って渡してくれる、道を尋ねれば大抵の人は親切に答えてくれる、喫煙所で知らない人にライターを貸して下さいと言えば大抵は笑顔で貸してくれる、そのような光景ばかりです。

 

 確かに長い人生、生きていれば時には自分勝手で嫌な人に出会うことはあるでしょう。

 しかしそういう人物に出会う回数と、そうではない人物に出会う回数、比較すれば後者のほうが圧倒的に多かったように記憶しております。

 

 

 思うに、ニュースや2ちゃんまとめサイトは、時代に関わらず一定数は存在するであろうちょっと一般常識が欠けた少数派の人達を、さも増加しているかのように捏造し、報道しているだけなのではないでしょうか。

 あぁ、いま謙虚に「なのではないでしょうか」と言いましたが、ニート問題と、生活保護の不正受給問題に関しては捏造で確定だったはずです。

 

「ニート」って言うな! (光文社新書)

「ニート」って言うな! (光文社新書)

 

 

 こちらの書籍に詳しくのっていますが、ニートの方々の多くは、「働きたくても働けない人」です。「働いたら負けだと思ってる」ような方は、ほとんど実在しないことがわかります。 

 

 wikipediaのニートの項目(2013/10/15)にも面白い調査結果が載っておりました。

 2008年4月に横浜市の「こども青少年局」が市内在住のニートや引きこもり状態にある15〜34歳までの若年無業者およそ750人を対象に実態調査したところ、8割を超す者が就労を希望すると回答した。内訳は、「正社員としてある」との回答が46.6%、「パート・アルバイト・派遣社員などとしてある」が1.7%、「あるが不安が残る」が34.5%で、合計すると8割を超えた。一方、「あるが今は休みたい」が1.7%、「ない」も1.7%で、現状で就労意欲の無いのはごく僅かであることが分かった。

 

 この例を見るだけでも、ニートの方々の98.3%は就職を望んでいることがわかります。

 しかしなんらかの事情によって、就職できずにいる人達なのです。

 

 生活保護不正受給問題に関しても、こちらのサイトに詳しくのっていますが

生活保護は増えてないし、もっと大事なことは増えて何が悪い、ということ

http://d.hatena.ne.jp/sarutora/20121213/p1

  昔のほうが生活保護受給者は圧倒的に多かった。

 日本は生活保護受給者が人口に対して1.6%と諸外国に比べ圧倒的に少ない。

 ということが書かれております。

 

 いつだったか、生活保護を不正受給しているのは、全体受給者の0.4%という数字が出たことがありましたが、あれは検証方法自体に少々問題が有る可能性もありますので、じゃあかなり大きく見積もって、10%だと仮定してみましょう。

 ……それでも、日本の総人口に対し、不正受給している人は0.16%しかいない計算になります。

 ちなみに、さらにありえないくらい大きく見積もって、不正受給率が50%だったとしても、総人口に対して0.8%です。世の中の大多数(99.2%)の方々は、まじめに働いて生きていることがわかります。

 

間違いだらけの生活保護バッシング―Q&Aでわかる 生活保護の誤解と利用者の実像―

間違いだらけの生活保護バッシング―Q&Aでわかる 生活保護の誤解と利用者の実像―

 

 

 このように一つ一つを検証していくと、どうも巷にあふれる「人の心が乱れてきている」系の言説は、根拠が怪しいものが多いです。

 

 

 

 ちなみにこのような怪しい言説は

 古代の時代から、人類の歴史と共にあり続けました。

(1) 「世も末だ。未来は明るくない。賄賂や不正の横行は目にあまる」

(2) 「子供は暴君と同じだ。部屋に年長者が入って来ても、起立しない。親にはふてくされ、客の前でも騒ぎ、食事のマナーを知らず、足を組み、師にさからう。」

(3) 「最近の若者は、何だ。目上の者を尊敬せず、親に反抗。法律は無視。妄想にふけって、街で暴れる。道徳心のかけらもない。このままだと、どうなる。」

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(1) 紀元前2800年頃の古代アッシリアの粘土板のある文。

(2) それから二千年後のソクラテスの言。

(3) プラトンが自分の弟子について。

 http://q.hatena.ne.jp/1129514022より引用

 

1965年の初版以来ずっと版を重ねるロングセラー、懸田克躬『病的性格』には、少年非行についての一節があります

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 戦後の社会の秩序が回復するとともに静まってゆくものと思い、かつ願っていたのに、昭和二十六年をピークとして次第に低下するように見えた少年非行は、昭和三十年ごろからは、再び上昇しはじめ、今日では年ごとに増えてゆくようにみえている。

 ……犯罪行為はだんだん悪質化し……先日の新聞紙上には、小学生らしい強盗の記事が載ったが、その後、中学生の強盗事件を報道する記事が大きく目を射た。高校生の年ごろの若者たちの事件は、連日のようにといってもよいほどである。

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 昭和39年の記述です。それなのに、このデジャブーな気分はなに? まるで昨日の朝刊の社説か、週刊誌の先週号の辛口コラムを読んでいるかのようです。ヘンですね。少年の凶悪犯罪は、近年になって急増したはずではなかったのでしょうか。マスコミはみな、そう騒いでいるのに。

 http://pmazzarino.web.fc2.com/lesson2.htmlより引用

 

 「最近の若者たちは子どもを生みたがらない。とくに若い女性が子育てを嫌がる傾向は目に余るものがある。どの家も子どもは一人か二人になった。このままでは国が衰退してしまうだろう」

 WEDGE 1999年8月号

 

 この文章はある政治家の発言ですが、これを聞くと昨今の少子化を憂う識者たちは「うむ、その通りだ」とうなずきたくなるでしょう。

 最近の女性からは母性愛が薄れてしまい、子どもを生みたがらないという嘆かわしい状況が続いています。今の女性たちは「経済的負担が大きい」「子育てよりも自分たちの生活を楽しみたい」と考える人々が増え、その結果少子化が進んで日本の将来を揺るがす重大な問題に至っているのです。

 それに比べ昔の女性は真面目に子育てをし、子どもを立派に育て上げ、高度成長期の日本を支えた素晴らしい若者に育て上げました。今の女性は国のことを考えない怠け者です。自分のことしか考えず独身でいる者も少なくありません。

 子どもも育てず楽をしている分だけ独身税でも制定して税金を搾り上げるか、昔の方々の爪の垢でも煎じて飲ませ反省させるべきでしょう。

 

 ところで、識者の方々はこの嘆きが約2070年前に発言されたものだと知ったらどのように反応するでしょうか?

 発言者であるローマ帝国の政治家マルクス・トゥリウス・キケロはローマ帝国の指導者階級に少子化が進み、子を産み育てることがなくなった事を嘆きました。

 この文章を紹介した佐倉統氏は「なんともはや、人間は今も昔も変わらない存在であることか」と発言しています。

 http://psychology.jugem.cc/?eid=49より引用

 

  

 人は何かにつけて、「昔は良かった」「今はダメになった」「人の心が乱れてきた」と言いたがる。

 そういうモノのようです。

 それは紀元前の時代から同じ。

 

 故に私はこのような現象を、人類史上最大のファンタジー物語であると考えます。

 なんてったって、紀元前の時代から多くの人々に愛され続けているフィクションなのですから。

 

 

反社会学講座 (ちくま文庫)

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暴走老人!

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